或るTHSCの日常。おまけ
 
 
 
 
輪子「あれ? マコちゃんおかえり。早かったね」
 
桐島「うん。本当はもう少しみんなで遊んで来ようと思ってたんだけど」
 
小竹「『みんなと』ではなく『みんなで』なんですね」
 
桐島「小竹、無理やりな登場はいけないなぁ」
 
小竹「みなさま初めまして。小竹優児(こたけゆうこ)と申します」
 
輪子「誰に言ってるの? ゆうこちん」
 
小竹「京田先輩、その『ゆうこちん』というあだ名、変えていただけませんか?」
 
輪子「なんで? ゆうこちん」
 
小竹「一応女の子なので、ちんはついていなのですよ?」
 
桐島「問題発言はよそうね? 俺ら一応放送部だから。それ放送事故になっちゃうから」
 
輪子「だいたいゆうこちんの名前、どう読んでも『ゆうこ』じゃなくて『ゆうじ』だよ」
 
小竹「それは私の父と母に言っていただきたいですね」
 
桐島「という訳で、風紀に行ってきたんだけど」
 
小竹「自分こそ話の転換が無理やりじゃないですか部長。で、何しにいってらしたんですか?」
 
桐島「いや、なんだか沢登に急用が出来たから、今日の風紀活動は中止になるってことを伝えに」
 
輪子「そういえば伝言頼まれてたね。沢登から」
 
桐島「そうそう。
……で、伝えに行ったんだけど、なんだか盛り上がってたから言わないで帰ってきちゃったよ」
 
小竹「帰ってきてどうするんですか」
 
桐島「うーん、だってああいう空気って壊したくなるんだもーん」
 
輪子「だからマコちゃんってトモダチ少ないんだよね!」
 
桐島「うん。でも馬鹿に囲まれるよりはいいよ。
ま、個人的にはせっかく友達になれた乃凪くんが風紀に流れたのが痛いんだけどね」
 
輪子「あっちは友達とは思ってなさそうだよね、ゆうこちん」
 
小竹「そうですね。多分部長は構ってもらえたのがものすごく嬉しいんでしょうね」
 
輪子「そう、優しくされたことがない人って、優しさに飢えてるからね。コロっと行きやすいんだよ」
 
小竹「まあ、友人関係なんて片方の思い込みでも割りと成立しますから」
 
桐島「君ら後で覚えておくといいよ。
……さて、校内放送頼まれたから、とりあえず沢登の呼び出しでもしようかな」
 
輪子「えー? だって沢登帰っちゃったよ? 校内にいないじゃん」
 
桐島「一応しとけばいいんじゃない? 来なかったらもう学校にいないんだなって分かるだろうし」
 
輪子「よ、極悪人ッ!」
 
桐島「いやいや、それほどでも」
 
小竹「楽しそうですね、部長」
 
桐島「実際楽しいよ? 沢登待ってる間の彼らがどんな表情するかなーって想像するだけでワクワクする」
 
小竹「歪んでますね、部長」
 
桐島「お褒めの言葉有難う、小竹くん。さて、俺も仕事だけはきちんとやろう。
キワ、機材の操作頼むよ」
 
輪子「はーい。ボリュームOK、スイッチいれまーす」
 
 
 
ぴーんぽーんぱーんぽーん……。
 
 
 
桐島『THBC(天凰高校放送部)よりお知らせです。2-4の沢登譲くん……』
 
 
 
再・END.