舞台は、東北地方にある、廃校寸前の高校。



生徒は主人公を含めてわずか3人。3人が揃って卒業する次の3月で、廃校になることが決定しています。



小さな村であるがゆえに、物心つく頃からずっと一緒に過ごしてきた3人。



進路をどうするのか。この村に残るのか、多くの人の後を追って街へ出るのか。



互いのコトが気になって、あまりに近すぎて、うまく前に進めない幼なじみたち。

7月7日、七夕。星降る丘の上。



由本桜衣は寝そべりながら、瞬く星空を眺めていました。



辛いことがあったとき、悩みごとがあるときには。



彼女は夜にこっそりと家を抜けだして、ひとり、丘の上で星を眺める。



それが幼なじみたちにも秘密の、彼女なりの眠れない夜の過ごし方でした。


と、そこへ、突然、人影が現れます。



「なにを、されているんですか?」



壁をつくらない静かな微笑みをたたえながら。



無数の星のまばたき。



青葉薫る夏風。





切なく七夕の星が瞬いて、どこまでも綺麗な夜でした。


次の日。



桜衣は丘の上で出逢った男の人のことを、幼なじみ達に話します。



しかし。



「夢でも見てたんじゃねーの」



と、一笑に伏せられる始末。



にわかには、信じてもらえませんでした。


そして。



夏休みも終わり、残暑厳しい二学期の始まりの日。



突然現れた、季節はずれの『転校生』。



それはあの七夕の夜、星祭りの夜に出逢った人でした……。







素朴な風景を舞台に、たったひとりの女の子と星を巡る青春の恋の物語が始まります。