- 帰り道　葉村と風羽 -
【場所：廊下】
	「おや、葉村くんお帰りですか？」
	「ああ」
	「ご一緒しても宜しいか」
	「兼子達は？」
	「兼子さんは今日の授業で質問したい項目があると、職員室に」
	「芳子さんはバイトだと走って帰りました」
	「ふうん。……ま、好きにすれば？」
	「ありがとうございます」
【場所：下駄箱】
	「今日のお弁当、おいしかったですね」
	「あー、なんか甘い煮物あったな。栗の」
	「ええ、栗きんとんでしょうか。中まで蜜が染みていて、なかなか」
	「俺甘いもの嫌いだし。……つか、先生和食より洋食が得意なら入れんなよ」
	「おや、好き嫌いしていると成長しませんよ」
	「逆に、甘いもの食わないで身長が伸びなかったヤツがいるなら連れて来いよ」
	「…………」
	（葉村くんに冗談は通じない）
	（それとも私の冗談が分かりにくいのか）
	「んだよ、ちょっと言ったくらいで黙るなよ」
	「いえ、そういう訳ではないのですが」
	「ならどういう意味だよ」
	「…………」
	「だから黙るなよ」
	「あーーーーーーーーーーー」
	「…………」
	「いえ、黙らなければ良いのかと」
	「……意味分かんねぇ」
	（葉村くんに、こういう冗談は通じない）
帰り道　葉村と風羽　完

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