- 帰り道 広瀬と風羽 -
【場所:廊下】
広瀬「あれ、菅野さんこれから帰り?」
風羽「はい」
広瀬「今日は一人なんだ」
風羽「はい。兼子さんも芳子さんもご用事があると」
広瀬「そっか。……じゃあ、帰る先も同じだし、ご一緒してもいいかな?」
風羽「ええ、是非」
【場所:通学路】
広瀬「そういえば、前から不思議だったんだけど」
風羽「ええ、何でしょう」
広瀬「どうして兼子さんは苗字で呼んでるのに、川奈さんは名前で呼んでるの?」
風羽「兼子さんは私を苗字で呼んでくださるので苗字でお呼びしています」
風羽「芳子さんは私を下の名で呼んでくださるので、同じように」
広瀬「なるほどね? ……じゃあ、俺が君を下の名前で呼んだら、俺も下の名前で呼んでもらえるの?」
風羽「…………」
風羽「広瀬くんがお望みとあらば」
広瀬「へえ……因みに、俺の名前って知ってる?」
風羽「広瀬優希くんです」
広瀬「あ、覚えてくれてるんだ。ありがとう」
風羽「いえ、どういたしまして。では、広瀬くんは私の名前を知っていますか?」
広瀬「菅野風羽さん」
風羽「おお、当たりです。ありがとうございます」
広瀬「どういたしまして。
 でもさ、クラスメートの名前でも、苗字は知ってても名前までは中々覚えてないよね」
風羽「覚える努力はしております」
広瀬「そうなの?」
風羽「はい。そして、月蛙寮の皆さんのお名前は既に把握済みです」
広瀬「……そっか」
風羽「? どうされました?」
広瀬「え? ああ、何でもないよ?」
風羽「そうですか」
風羽(……一瞬寂しそうに見えたのは気の所為だったか)
帰り道 広瀬と風羽 完

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