|
春。もうすぐ桜が咲きそうな季節、私は母の墓標のある南青瀬に帰って来た。
父の仕事がようやく一段落したのだ…。
長く転々とした生活を送りつづけた私の生活が終り、これから弟と3人、南青瀬での生活が始まる。
冬。クリスマスが近づく12月。
天鳳高校の旧校舎の取り壊し供養として天鳳会(てんほうえ)が行われる。
その文化祭とも違う独特の行事に浮かれる生徒達が、さまざまな催し物の計画を進める。
私も同じクラスの匣くんや、委員長の沢登先輩と共に風紀委員として準備に参加していた。
そんな何時もと変わらない日だった、父が事故で病院に搬送されたと聞かされたのは…。
結果として父は交通事故で、数日間の入院を余儀なくされた。
医者が言うには、その程度で済んだのは奇跡的と言って良い事故だったらしい。
そんな父の入院に必要な衣類を探す為に、押し入れを整理していた時に見つけたのだ。
この翡翠のペンダントを…。
そう、今にして思えば、これが始まり。
この翡翠のペンダントを見つけた事から全ては始まったのだと思う………。
|
|
|