森本	「よーし、皆席着いたな。では、突然だが、転校生を紹介する」
男子生徒	「転校生？」
女子生徒	「女の子かな？」
森本	「さ、入ってきなさい」
朝峰	「はい」
皐月	（男の子？）
皐月	（男の子……だよね？　わー……綺麗な顔してる）
朝峰	「…………」
皐月	（あ……目が、合っちゃた）
森本	「はいはい、お前ら静かにしろー」
森本	「えー、今日からこのクラスで一緒に勉強する事となった、朝峰涼志君だ」
森本	「元々美穂呂に住んでいた訳でもなく、親戚もこちらにはいないそうなので、この町はまるっきりの初めてとなるそうだ」
朝峰	「…………」
皐月	（……？　何か、さっきからこっち見てる？）
森本	「分からない事だらけだと思うからな。皆、助けてやれよー」
森本	「あと、それとー……」
女子生徒	「先生ー！　先生の話はもうそれくらいでいいですー！」
森本	「お、おお。そうだな。では朝峰君。一言、自己紹介をよろしく」
森本	「…………」
朝峰	「…………」
森本	「それだけか？」
朝峰	「はい。それだけで十分でしょう、先生？」
森本	「ま、まぁ、別にここは語り場って訳じゃないしな。えーとじゃあ、席は……」
森本	「そうだな、守永の隣りでいいだろう。丁度空いてるし」
皐月	（え？）
皐月	（……あれ？　私の隣りの席って、誰もいなかったっけ？）
朝峰	「…………」
皐月	（…………あ）
皐月	（それにしても……近くでみるとやっぱり綺麗な顔してる）
朝峰	「…………」
皐月	（……また……目が合っちゃった）
皐月	（って、あ、じっと見てたら失礼だよね。挨拶しないと）
皐月	「え、えっと、私の名前は守永皐月、よろしくね」
朝峰	「うん、知ってるよ。よろしくね、皐月」
皐月	（！！？）
皐月	（い、いきなり呼び捨てーっ！！？）
皐月	「って……あの『知ってる』って私の事？」
朝峰	「そうだよ」
皐月	「え……。どこで……」
皐月	（私の知り合いで、こんな綺麗な子いたっけ？）
朝峰	「君は……覚えてないみたいだね」
皐月	「ご、ごめんなさい」
朝峰	「いや、いいよ。仕方ないと思う」
皐月	「……？　そ、そう？」
朝峰	「ねえ……皐月」