山瀬「あー、泳いだ泳いだ!」
 
水窪「……勇人、凄い色になったな」
 
山瀬「へ?」
 
水窪「いや……皆、忘れ物は無いな?」
 
鈴菜「ええ、持ってきた荷物全部受け取ったから大丈夫よ。ねえ、皐月」
 
皐月「うん」
 
皐月「…………」
 
皐月「あれ?」
 
皐月(指輪が……無い?)
 
鈴菜「? どうしたの? 皐月」
 
皐月「ちょっと探し物を……」
 
 
 
皐月(無い……どこにも無い……?)
 
水窪「守永さん? どうしたの、急に鞄をひっくり返して……」
 
皐月「指輪が無いの。鞄の中にしまったはずなのに……」
 
皐月(嘘……どうしてないの?)
 
皐月「…………」
 
皐月(もしかして、落とした……?)
 
山瀬「指輪? なんだって指輪なんて持って……」
 
水窪「今は理由を聞くより探す方が先じゃないのか?
 彼女の様子だと、相当大事な物みたいだし」
 
皐月「水窪君……」
 
山瀬「そっか……そうだよな。皐月、最後に指輪を見たのはいつだ?」
 
皐月「最後? 最後に見たのは……」
 
皐月「……駅前に……来る道で」
 
水窪「しおりに地図が載ってたな……その辺りを指させる?」
 
皐月「こ、この辺り……多分」
 
山瀬「よし。
じゃあ、俺と水窪はここからここまでの場所探してくるから。皐月と進藤は浜辺を探せ」
 
鈴菜「分かったわ」
 
水窪「守永さん。指輪の見た目を軽くでいいから教え……」
 
皐月「…………」
 
山瀬「しっかりしろよ皐月!」
 
皐月「! ご、ごめん
……あの、丸い金色の綺麗な石が嵌ってて……それ以外には特徴ないんだけど……」
 
水窪「分かった、探してくるよ。……行くぞ、勇人」
 
山瀬「ああ」
 
鈴菜「皐月、私は向こうの方を探してくるわ」
 
皐月「うん……ありがとう、鈴菜」
 
皐月(ルーエン……)
 
皐月「……私も探さないと」
 
 
 
 
皐月「…………」
 
皐月(無い……)
 
皐月(……どうしよう、全然見つからない……)
 
皐月「…………」
 
皐月「……ッ」
 
皐月(ルーエン……)
 
 
 
皐月「……?」
 
少年「どうしたの? どこか痛いの?」
 
皐月「違う……の……」
 
少年「じゃあ、悲しくて泣いているの?」
 
皐月「うん……」
 
少年「…………」
 
少年「泣かないで」