米原 | あっ |
風羽 | 「……? どうされました?」 |
米原 | 「……いやー、うっかり三つ編み解いちまった」 |
風羽 | 「? 何かまずいのですか?」 |
米原 | 「え? 折角菅野が編んでくれたから、惜しかったなって」 |
風羽 | 「……そうなのですか?」 |
米原 | 「そう」 |
風羽 | 「また編みましょうか」 |
米原 | 「でもそれって二回目じゃん? 一回目の俺の“初々しさ”を写真に収めたかったなって」 |
風羽 | 「…………」 |
米原 | 「……冗談です。でもホント、ちょっと惜しいよ」 |
風羽 | 「何故です?」 |
米原 | 「理由はさっきと一緒。折角菅野が編んでくれたから」 |
風羽 | 「……? 私が編むと良いことが?」 |
米原 | 「え? うーん……ほら、一生懸命編んでくれたから、一日くらいはその髪型で過ごしてもいいじゃない?」 |
風羽 | 「ほう……?」 |
米原 | 「じゃあさ。何かの用事で菅野が写真を撮ることになって、俺が凄い手間をかけてかわいーくお前の髪をアップしたとしよう」 |
風羽 | 「アップ出来るほど長くありませんが」 |
米原 | 「そういう突っ込みはメっ! ……で、用事が終わった後、菅野はその髪の毛を下ろしちゃう?」 |
風羽 | 「…………」 |
風羽 | 「……その後の都合によるかと」 |
米原 | 「ああ菅野に俺の気持ちが伝わらない!」 |
風羽 | 「冗談です。多分嬉しくて一日はその髪型なのではないかと」 |
米原 | 「だっろー? それと同じです」 |
風羽 | 「……しかし、私の三つ編みは所要時間10分未満です」 |
米原 | 「気持ちが大切なの。菅野が“作業しやすいように”って俺のことを思って編んでくれたんだから」 |
風羽 | 「…………」 |
風羽 | 「……むう」 |
米原 | なんか変に力説してしまった。 |
米原 | 高校生相手に何ムキになってるんだ俺は。 |
―米原編より抜粋― |