友情は徐々に深まれど、誰かと特別な関係になることもなく日々浄化に励む、
お馴染み月蛙寮のメンバー達。

振り返れば暦の上では、早七月も末の夏休み。

なのに誰一人として遊びに出掛ける計画の一つもない。

・・・・・・が、ふとしたことで半強制的に出掛けることになった彼らが
何故か友達の友達まで交えて、向かった先は海。

そこで起こる様々な出来事に、遂に動き出す彼らの関係。

そして始まる彼と彼女のもう一つの物語、その結末は・・・・・・



“人からカエルにされる”という自然界の法則にかなり反する体験をしてから、

あわただしく日々は過ぎて行き、全てが解決したと同時にとても大切な人ができた。


そんな“初めての日”からほんの少し成長した彼と貴方との、エピローグ後の物語。

夏祭りという独特の空気の中で、彼等の貴方に対する想いや、

貴方と出会う前までの話を聞きながら、ゆっくりとした時間をお過ごしください。



何が起こるかは開いてみてのお楽しみ。

一説には、あのうねった頭髪の人が構ってくれるとか、月宿という土地の曰くを聞けるとか・・・。



梅雨入り前の6/8。

その日の放課後、主人公の菅野風羽は、部活動のため放送室にいた。

怪しくなる雲行きを見守っていると、指定の時間より遅れて部長の法月が入ってくる。

彼の半ばごり押しに近い提案で、副部長を抜かした部員は
“月宿の七不思議”なるものを探すため、校内を彷徨う羽目になる。

その間に色々あり、何故か学内にある社を壊し、
気がついたら身の丈10cm弱のカエルにされていた。

何とか人に戻してもらうも、
戻してくれた存在“十九波十夜(しゃべるネコ)”に月宿の浄化を命じられる。

言われるまま頷くしかない、カエルにされた葉村椋人、空閑正臣、広瀬優希、法月蓮、
そして菅野風羽の5人。

十九波の粋な計らいで元いた寮の水道管を破裂させられ、

5人は同じ “ -月蛙 / つきがえる- ” という名の寮で生活を共にすることになってしまった。


――“女子1人、男子4人” という異常な状況下で・・・・・・。



古くは宿場町として栄えた“月宿市”。

地名の“宿”の字は、その名残だとか。

それ以前は鬱蒼とした木々に囲まれた場所で小さい村がぽつぽつあった程度だったが、

街道沿いということもあり、開拓の意味でも宿場町に適していると周辺の整理が行われた。


宿場町としての月宿は狙い通りに大いに賑わった。

それに加え、今で言う“月宿池”では大輪のハスが美しく咲き乱れ、

梅雨の時期はその雨音とカエルの鳴き声を楽しもうとする宿泊客で盛況したとか。

だが、その栄華も現在の閑散とした町並みからは、残念ながら垣間見ることはできない。


そんな“月宿”には知られざるもう一つの顔がある。

それは『蓮と蛙と神話の町、月宿』というオカルトチックな呼称。

古くから不思議な言い伝えが多い月宿なのだが、それを伝える人間が減り

今では変なキャラクターを市のマスコットに据えている印象だけが強く残る。

そのマスコットも副収入足りえるならまだしも、その兆しが全く見えない所がなんともいえない。


まあ、そんな話は置いといて。


その“不思議な言い伝え”の一つ、
この土地特有の祭神“雨女之月宿姫(あまのつきやどりひめ)”の話をしよう。

人か、神か、はたまた妖怪か・・・・・・その一切の記述がない彼女。

そんな彼女が行ったことは、“月宿という土地の浄化”。


“土地の穢れ”が原因で日照り続きになってしまったこの土地を、
その身を犠牲にしてまで救ったとか。


彼女が何者だったのか、何故その命を賭してまで月宿の地を救ったのか。

そしてその彼女を祀った“月宿神社”の神使が何故“蛙”なのか。


謎が尽きない不思議な都市、月宿。

貴方も機会があれば、是非訪れてみてはいかがだろうか。


――因みに月宿への交通手段はバスしかなく、

停留所にはこの市のシンボル“カエルのカエリーナタン”が燦然と待ち構えているが悪しからず。

文・月宿高等学校放送部


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