「事件だ!」
「何すか、急に」
「兼子と川奈が夏バテだ!」
「あの……それだと、四回目のお返事は?」
「一回休みだな」
「俺らでやるんじゃ無いんですか?」
「うん!」
「まあ、単純にお返事書いてる暇がないっていう――」
「そういうこと言うの止めて!! 来週は間に合わせるから!」
「何気に水曜更新だったんだよな、ここ」
「そうそう、そうなの」
「あの、それで、僕達は、何を……」
「ここって“みになりません”ってところじゃん?
 でもさ、少しはくだらない以外の会話があってもいいじゃない?」
「ためになるような話でもするんですか?」
「一体何をするんでェ?」
(……いたんだ、先輩……)
「そこはさぁー……夏だ! 海だ! 恋愛話だ! だろ!」
「パス」
「ええと……」
「安らかに眠らせてあげましょうか」
「いいね、手伝うよ」
「どうして!? 法月ぐらいはのってくれると思ってたのに!」
「あのね、スガちゃんもいない場所で男だけでやっても意味ないと思うの。
 それってただの牽制合戦じゃん? 疲れるの嫌」
「スガちゃんがいれば、反応うかがったり出来ていいと思うんだけど」
「先輩打算だらけですね、でも同意です」
「やだこわいよう放送部。そっちは? エコ部は?」
「ためになるような話だと思えない」
「あ……うん……」
「なる! 俺の為にはなる! 俺は面白い!!」
「とりあえずみんなセンセイの話聞こうぜ!」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「あ……うん」
「今日、雨だっけか?」
「ううん、一日晴れだよ……」
「明日、月宿が瘴煤に包まれるんじゃないですか?」
「地球が爆発するのかも……」
「お前ら酷いよ」
「自分だって6行前で驚いてたじゃないすか」
「ごほん! ……えー、では本題に入ろうか」
「本題までが長ぇよな」
「いいの! でだ。君達に質問だ」
「もし、自分が女の子だったら、ここにいるメンバーの誰のお嫁さんになりたい?」
「…………」
「は!?」  「え……」
「一番票数取った奴は今日のデザート二つな。
 はい、口で言うとダメージ食らうだろうから、紙に書いて」
「いやいやいや、紙に書こうがダメージでかいだろ!」
「う、うん……」
「目を開けたまま眠ってるんですかね?」
「そうかもしれないね。とりあえず関わらないようにそっとしておこうか」
「おきてるもん!」
「書いたぜェ!」
「速ぇ!!」
「ほら、お前らも書け。な、とりあえず!」
〜時間経過〜
「ほらよ」
「はい」
「おし、全員書いたなー? じゃあ、開票!」
「ここでかよ!」
「ここでだよ。とりゃ!」
葉村椋人 ⇒ 無理
「…………」
「ええと、次……」
空閑正臣 ⇒ ごめんなさい……
「リアル! 次は……」
戸神明杜 ⇒ 豆
「人外!」
「結婚っつったら、毎日一緒にいるってことだろ? 食うもんに困らないぜ?」
「豆が料理してくれるの!? それとも豆を食べるの!?
 毎日増殖するの?! 一夫多妻制?!」
「豆って……ああ、テーブルの上に豆の入れもん乗ってるな」
「あれもカウントされてたんだね……」
「…………」
「? どうしたの? 広瀬くん」
「いや……」
「なんでまともな子が一人もいないの? 次!」
法月蓮 ⇒ スガちゃん
「ルール守って!」
「だってさー、友達としては皆好きだけど、結婚とかないよー」
「はい……」
「ぐすぐす……もう、じゃあラストは広瀬な? ええと……」
がしっ
「…………」
「…………」
「……あの、広瀬くん? 俺の手首めっちゃがっちり掴んでるけど、痛いよ?」
「皆真面目に書かなかったんだからいいですよね? ここで終わりにしましょう?」
(こいつ……)
(一人だけ真面目に書いたんだ……)
「ねえ、広瀬くんは誰を書いたの?」
「え……いや……」
「大丈夫大丈夫! 別に開いた途端変な目で見るなんてことしないから!」
「ウインク腹立つ!!」
「早く開いてよミサキちゃん」
「ああ、デザートくいてーし」
「葉村くん、それって自分に票が入るって思ってるの……?」
「それでは……ひらけごま!」
「あっ!!」
広瀬優希 ⇒ 戸神先輩
「…………」
「えっ……?」
「ああっ! 早速変なものを見る目をされている!!」
「……え?」
「念押しはいいよ!」
「いや、こういったら戸神先輩に失礼かもしれないけどさ……え?」
「あの……どうして……?」
「お前ら酷すぎるよ。でも確かに理由は気になるが」
「…………」
「……単純に消去法で行っただけです」
「消去法?」
「そう。葉村くんとは多分性格の不一致から結婚まではいけない」
「空閑くんは……ええと、空閑くんにはもっといい人が現れるよ、うん」
「で、法月先輩と米原先生は理由一緒です」
「え、心外」
「え、酷い」
「ちょっとどういうことなの?」
「ほら、二人とも面倒見はいいでしょう? そうやって優位に立たれたくないんです」
「お前さ……ちょっと空気のいいところで養生してこいよ。性格の捩れ直るよ」
「失礼な!」
「……で、戸神か」
「はい。なんか、一番こっちに関与しないでくれそうだったから」
「ん? じゃあ俺がデザート二つだな! やったぜ!!」
「素直に喜べる結果じゃない気がするが……さってと」
「? 先生、どこに行くんですか?」
「いや、菅野にも聞いてこようと思って。“この寮内で、お嫁さんにするなら誰?”と」
「逆だろ」
「おっと失敬、“誰のお嫁さんになりたいか”だな。
 結果発表は今日の夕食にひっそり潜ませてやるから! じゃ!」
「…………」
「それだと選ばれた人間しか分からねェな。
 お前ェら、気になるなら聞き耳立てた方が速いんじゃねェか?」
「! ご、ごほっ。なんか急に喉の調子が……部屋で休むか。じゃ、じゃあな!」
「! ぼ、僕もゲーム、やってこようかな? じゃあ、また後でね!」
「……塾の予習しよっと。それじゃ、俺も失礼しまーす」
「あっ! え、えっと……お昼寝する! じゃあね戸神先輩!」
「…………」
「はーっはっはっはァ! 分かりやすい奴等だぜ!」

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